2011年5月1日日曜日

アメリカ南部から北上した竜巻

はじめに:世界的に『史上最悪の』天災、人災が頻発している。東日本大震災のほとぼりが冷めやらぬ4月半ば、アメリカ南部から東北部にかけて大雨による河川の氾濫から洪水によって何千何万という家屋が水浸しとなり、乾く間もなく大小400に及ぶ竜巻に席巻され、これまた何千何万という家屋が吹き飛ばされ破壊され瓦礫の山と化した。

もし誰かに「選べるとしたら、地震、津波、洪水、山火事、台風、竜巻の内どれがよいか?」と聞かれても返答に窮する。


この場合は津波を伴った東日本大震災の惨状と、アメリカ南部を破壊した竜巻の猛威と、どちらが被害が大きかったか、という論議する気持ちは毛頭ない。それは無意味な比較であろう。いずれの場合でも、想像を絶する天然の猛威から逃避する術もなく、多数の死傷者や、家屋財産を失った犠牲者を出したことには変わりないのである。


従って、下掲のアメリカの地図と日本の地図を並べたのは被害状況を比べるためではなく、読者に被害地域の規模の概念を視覚的に納得して頂くためである。別のご参考のため、両国の緯度は正しい位置に設定した。

我々人類にとって将来の課題は、こうした天災を予測するのは可能だとしても、抑えることが不可能である限り、その猛威から如何に被害を最小限度に留めるかにかかっている。編集;高橋経
ニューヨーク・タイムズ紙
アラン・マクリーン(Alan McLean)、アーチー・ツエイ(Archie Tsei)による報告
4月29日付けの記事から抜粋

去る4月14日から、昨28日までの2週間に大小の竜巻がアメリカ南部諸州から東に向かって北上し、家屋から人畜に至まで容赦なく上空に吹き飛ばし、破壊の限りを尽くして通り抜けた。その破壊力は2トンの大型車を吸い上げ、地上に叩き付ける強さ、と言ったら想像がつくであろう。
(下掲のアメリカ東半分の地図は、竜巻が破壊した地点を示す。東日本震災の地図と並べたが緯度だけは対応している。)

記録された風速は時速320キロ以上、それはジェット機が飛行する早さだと思ったら間違いない。従って警告予報が出されたら、直ちに地下室などに避難しないと逃げ遅れて空に吸い上げられる運命になる。こうして命を奪われた人々が400名もいたが、この数字は救出作業が進むにつれて更に増えるであろうと予想される。

高圧線の鉄塔もテネシー州だけでも200基以上が破壊され、70万人の利用者が停電の状態にある。最も被害が大きかったアラバマ州でも26万所帯が停電の憂き目に遭っている。


家を吹き飛ばされた人々は、文字通り着の身着のまま、家財道具はおろか、所持品の全てが空の彼方に飛ばされていった。よほど運が良くてそれが見付かったとしても、数10キロも離れた地点に落下していることであろう。


以下は竜巻一過、現状のほんの一部:

被害が最悪だったアラバマ州、タスカルーサ町(Tuscaloosa)を視察するオバマ大統領「こんな酷い天災は見た事が無い。政府としては、犠牲者たちを生き返させることはできないが、物質的な損害はできるだけ補助しよう」と約した。 

家屋を破壊されたタスカルーサのシーダー・クレスト(the Cedar Crest)フォレスト・レーク(Forest Lake)付近の惨状。-----空中から撮影

4月21日の竜巻で、6州に亘って襲来した竜巻で285名が死亡し、その内アラバマ州だけでも195名が犠牲になった。----- 写真はタスカルーサにて

この竜巻で、何千人もが負傷し、無数の人々が住居を失った。それでも残留品の中から使えそうなものを何とか回収している。

被害状況を調べるプラット市(Pratt City)の住民。

息子の家の瓦礫から所有物を回収する両親。
-----ジョージア州、バートウ郡(Bartow County)にて

姪の家に避難した婦人が、竜巻一過で引き揚げる。といっても、帰る家が残っているかどうか心もとない。-----ジョージア州、バートウ郡にて

被害に遭った母親の家を見舞い、状況を調べて抱き合う息子と母親。-----ジョージア州、ケイブ・スプリング(Cave Spring)にて

テネシー州、グリーンヴィル(Greeneville)のボランティア達がキャンプ・クリーク地域(the Camp Creek Community)の瓦礫を捜索。

唯一つ残された土台の床に立ち、呆然として隣人と恐怖を語り合う住人。-----アラバマ州、バーミングハム市の西郊外。プレザント・グローブ(Pleasant Grove)にて

『竜巻が接近』
画面をクリックすると動画のスクリーンに移動します。 多分ケイタイで撮ったビデオのため画面が不鮮明ですが、その状況の理解には役立つでしょう。-----2分28秒-----

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