2011年12月21日水曜日

『ホワイト・クリスマス』


先ず、ビング・クロスビー(Bing Crosby)の『ホワイト・クリスマス(White Christmas)』のビデオ(3分)をご覧ください。


Irving Berlin

1940年(昭和15年)1月、既にアメリカで売れっ子だった作詩作曲家、アーヴィング・バーリン(Irving Berlin)が、興奮して音楽事務所に駆け込み、音楽秘書に新曲の楽譜を手渡し「これは僕の一世一代の傑作だ。こんな素敵な音楽は、未だに誰も創っていないんだ」と自信たっぷりに宣言した。バーリンが豪語した通り、彼が作曲した『ホワイト・クリスマス』は、非宗教的なクリスマスの賛美歌として、今日まで人々に愛されて続けてきた。

"Holiday Inn" poster
この曲は、今日までに何百という違った歌手や演奏者たちによって唱われ、録音され、レコードが発売されてきた。だが、何といっても1942年(昭和17年)8月に公開された映画『ホリディ・イン(Holiday Inn)』で、ビング・クロスビーが弾き語りで唱った『ホワイト・クリスマス』が人々の記憶に最も強く焼き付いている。

なお、クロスビーとデュェットしている共演女優ヴァージニア・ディル(Virginia Dale)


また、左のポスターでは、アーヴィング・バーリンの名前の方が、人気俳優のクロスビーより大きく扱われているのも興味深い。

ご参考のため、歌詞3節をご紹介する。原作の感傷を味わっていただくため、あえて日本語に翻訳しないが、ご了承あれ。

I'm dreaming of a white Christmas
Just like the ones I used to know
Where the treetops glisten,
and children listen
To hear sleigh bells in the snow

I'm dreaming of a white Christmas
With every Christmas card I write
May your days be merry and bright
And may all your Christmases be white

I'm dreaming of a white Christmas
With every Christmas card I write
May your days be merry and bright
/And may all your Christmases be white
White Christmas

"White Christmas" poster
余談になるが、『ホリディ・イン』がヒットした12年後の1954年、その夢を今一度、題名はずばり『ホワイト・クリスマス』、ビング・クロスビー、ダニー・ケィ(Danny Kaye)、ローズマリー・クルーニィ(Rosemary Clooney)の共演でミュージカル・コメディが公開された。


主題曲の『ホワイト・クリスマス』が、フィナーレで高らかに合唱されていたことは、言うまでもない。



2011年12月19日月曜日

アメリカン・ドリームはどこに?



取り戻せるかアメリカン・ドリーム(American Dream)

志知 均(しち ひとし)
201112

大銀行や金融会社が不当に強力なことに抗議し、この秋の917日に無政府主義者、社会主義者、リベラルなどと自称する連中や、アーチストなどから成る雑多なグループが、ニューヨークの証券取引所に近いザコテイ・パーク(Zuccotti Park)に座り込みをした。『大銀行や金融会社』とは、J.P.Morgan, Citi Group, Goldman Sachs: などの数社で、彼らの総資産はGDP30%に相当する!
ニューヨークのウォール街で、抗議者集会デモ

これがウォール街占拠(Occupy Wall Street)の始まりである。このグループが野営して座り込みを続ける内に、参加者は雪だるま式に増え、更に同様な座り込み抗議がアメリカ各地へ広がった。今では総称して占拠抗議者集会(Occupy Protesters)と呼ばれている。しかし抗議の対象は金融機関だけでなく、大学授業料値上げ反対や、仕事よこせ運動と多様で一貫性に欠ける。

そこでこの運動をもっと焦点をしぼった政治運動にしようとする動きがでてきた。例えば、オバマ政権にも参与した黒人リベラルのヴァン・ジョーンズ(Van Jones)は、これをアメリカン・ドリーム運動(American Dream Movement)と呼んで、リベラル政治運動にまとめようとしている。

アメリカン・ドリーム(American Dream)、、、この言葉は1931年の大恐慌の頃にアメリカの叙情詩(The Epic of America)という著作の中で、ジェームズ・トラスロウ・アダムス(James Truslow Adams)が使った表現が定着したもので、アダムスによればアメリカン・ドリームというのは「階級を問わず、全ての市民が豊かで幸福な生活を享受できること(a better richer and happier life for all our citizens of every rank)を達成するのが目標で、憲法でいう「全市民の幸福(Happiness for all)に通ずる。
絵に描いたようなアメリカン・ドリーム;1960年代


1960年代のハリウッド映画にみられるように、緑の芝生と車2台の車庫つきの家に住み、年に数回家族旅行の休暇がとれる安定した仕事があり、退職後は年金(Social Security)で老後を悠々と暮せる中流階級になるのがアメリカン・ドリームであり、可能であった。その夢が、今回の恐慌(recession)で、社会を根底からゆるがし崩れてきてしまったのだ。30年前に比べ、中流階級は10%縮小している。

その原因について、新聞、雑誌、テレビなどの評論から拾ってみると次のようなことが考えられる。

中流階級にとって最大の資産は持家である。それが不動産バブルがはじけて家の値段が下がり大幅に資産が減った。更に、政府の消費拡大政策にのってクレジットカードを安易に使い過ぎたため銀行への個人負債(debt)が増え、持家を失って中流から転落する家庭が増えたこと。クレジットカードの濫用が始まったのは労賃の低い経済途上国から安い消費物資が大量に輸入されたからで、消費者は自分で自分の首を絞めることになった。

1970年代から世界中で20億の低賃金労働者が増え、それまでアメリカの労働者がやっていたと同じ仕事をするようになったので、アメリカの製造業は壊滅的打撃を受け、生存競争から生き残るためにアメリカ人社員を解雇し、海外の労働者を起用したため、失業者が急速に増加した。

「アメリカン・ドリームはおしまいだ」
中流階級が縮小した反面、安い消費物資を輸入販売して利潤を得た企業や、資金の流通の取り扱いで利益を上げた金融機関のトップの人達は、巨額のボーナスや報酬をむさぼっていた。彼らは、アメリカ総人口のたった1%の人達に過ぎず、国民全体の所得の21%を独占し、國家財産の35%を占有している。こうした富の独占という歪みが反映し、貧困層は加速的に増大している。


このように貧富の格差が大きくなり過ぎると、社会不安が高まり資本主義にとって脅威になる。そのよい例が、経済急成長した中国で、人口の10%にしか過ぎない上流階級の所得が、これまた10%の下層貧困階級の所得の65倍にもなる。中国政府の指導者は、貧富の拡大は社会主義の脅威になると懸念している。

興味あることに、景気回復が捗らず失業率も高い現状への対応は、世代によって大きく違っている。30才以下の『2000年世代(millenium generationと呼ばれ、40%が非白人種)』は、IT 技術革命の時代に育ったから情報伝達が早くなった現在のアメリカは60年代よりよくなっていると思っている。

それに対し66才以上の『沈黙の世代(silent generation)』は、程度の差こそあれアメリカン・ドリームを達成して退職した人達が中心だから、当然、現在のアメリカは悪くなってきていると感じている。この老若世代にはさまれた『X世代(3146才のgeneration)』と4765才の『ベビー・ブーマー世代(baby boomer generation 中流階級の主体)』の現状に対する見方は、職業によって違うようだ。教育程度の高い専門職(医、法、先端工学、金融など)や、反対に大学教育を必要としない職業(商店マネジャー、守衛、料理人など)に従事する者は失業率が低く、現状にあまり不満はない。それに対し、技術やIT機器の扱い方の点で途上国の労働者に遅れをとっている人達は不況の打撃を一番ひどく受け失業率も高いので現状への不満も多い。

いわゆる『アラブの春』と言われ、チュニジア、エジプト、リビアなどで独裁政治への不満から民衆が蜂起した。独裁ではないが少数の富める特権階級が富を独占し、民主的でなくなってくれば、アメリカでも民衆蜂起が発生しないとはいえない。保守派の草の根の人たちが始めた『ティ・パーティ(Tea Party)』運動や、リベラル派の占拠抗議(Occupy Protest)運動はその前兆かも知れない。

それではどうすればよいか?については議論百出であるが、識者が共通して指摘している点がいくつかある。先ず、雇用を促進すること。現在アメリカのビジネスは政府の財政方針がビジネスに有利になれば、雇用や設備投資に回せる備蓄が2兆ドルもあるといわれる。

日本についで二番目に高い法人税率(corporate tax rate)を下げ、さらに企業活動の足かせになっている規制を減らし、企業投資を奨励すれば、雇用が増えることは間違いない。個人所得税率も貧富の差を少なくするように改正しなければならない。杜撰(ずさん)な管理で急増している国民健康医療費(Medicare/Medicaid cost)や外国派兵で増大した軍事費を縮小し、膨大な政府の財政赤字を減らすことが急務である。政府の財政緊縮と同時に、国民が無駄な消費を控え貯蓄を増やすことも肝要である。現在は過去40年の過剰消費を反省する時期といえる。

「お金さえあれば、、、」
手軽に達成できるアメリカン・ドリーム。
幸いアメリカは他の先進国に比べ若い世代が国民全体にしめる率は高いので、働く世代が、退職した世代を支えて成立つ社会保障年金制度に財源の心配は現在ない。また天然ガスや石油資源が豊富だからエネルギー源の外国依存を減らすこともできる。

最近は、アメリカのピークの時代は過ぎてしまったという悲観論も聞かれるが、私はそうは思わない。現在の試練の時期がすぎれば、再び繁栄の時期がやってくると信じる。言いかえれば、アメリカン・ドリームは必ず取り戻せる。

2012年秋の総選挙ではそれを実現してくれる大統領と議員を国民が選ぶことを願っている。
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写真、マンガは、 National Legal and Policy Center;myaimzistrue.blogspot.com; Ob Rag (Ocean Beach California) by Greenburg から

2011年12月16日金曜日

ゴールデン・グローブ賞の行方?


12月15日付け、NYTから抜粋
ゴールデン・グローブ賞(The Golden Globe Award)とは、2011年の間に公開された劇場映画やテレビ映画から優れた作品を候補として選び、その中から脚本、製作者、監督、俳優その他各部門の最優秀者に与えられる賞である。同賞は、毎年春に行われるアカデミー賞授与の祭典に先立って行われるので、映画ファンの興味を盛り上げるのに効果があるようだ。
ゴールデン・グローブ賞は、ハリウッド外国通信協会(Hollywood Foreign Press Association: HFPA)のメンバー93名から成り立ち、1944年1月、ロサンゼルス、20世紀フォックスのスタジオで第1回の祭典が発足した。今回が69回目の祭典で、年明けの1月15日が予定されている。
2011年の候補作品は次の通り。
アーチスト(The Artist)』はハリウッド映画の初期を思わせるサイレント映画仕立て。コメディ部門とミュージカル部門を含め、6部門の候補となっている。

ドラマ部門の最優秀映画候補としてジョージ・クルーニー(George Clooney:左)主演子孫たち(The Descendants)』。

同じくドラマ部門で対抗しているのが『手伝い(The Help)』で、主演女優賞候補にヴィオラ・ディヴィス(Viola Davis:右)と助演賞候補にオクタヴィア・スペンサー(Octavia Spencer:中央)が挙げられている。

ドラゴンの入れ墨がある女(The Girl With the Dragon Tattoo)』を演じたルーニィ・マラ( Rooney Mara)も主演女優賞候補になっている。

チルダ・スイントン(Tilda Swinton)も『ケヴィンのことで話し合わねば(We Need to Talk About Kevin)』で主演女優賞候補に挙げられた。

鉄の夫人(The Iron Lady)』で、元イギリス首相マーガレット・サッチャー(Margaret Thatcher)夫人を演じたベテラン女優メリル・ストリープ(Meryl Streep)も主演女優賞候補に挙っている。

ジョージ・クルーニー主演の『3月15日(The Ides of March)』は最優秀作品候補。

主題役を演じたレオナルド・デカプリオ( Leonardo DiCaprio)J. エドガー(J. Edgar)』で最優秀男優賞の候補。

恥辱(Shame)』で色情狂を演じたマイケル・ファスベンダー(Michael Fassbender)はドラマ部門で最優秀男優賞の候補。

スチーブン・スピールバーグ(Steven Spielberg)作品、第一次大戦のエピソード『軍馬(War Horse)』も最優秀作品候補に挑戦。

ドラマ『アルバート・ノッブス(Albert Nobbs)』の主演、グレン・クロース(Glenn Close)は、最優秀女優賞と共に、テーマ音楽の最優秀作詩、作曲の候補に。

野球にまつわるドラマ『マネーボール(Moneyball)』で主演したブラッド・ピット(Brad Pitt)は最優秀男優賞の候補に、作品も最優秀作品候補に。

マーチン.スコーシィズ(Martin Scorsese)製作、エイサ・バターフィールド(Asa Butterfield)と、クロー・グレース・モレッツ(Chloe Grace Moretz)共演のヒューゴ(Hugo)』は最優秀作品候補に。

ウディ・アレン(Woody Allen)製作の幻想的ロマンス、オーウエン・ウイルソン(Owen Wilson:右)とカーラ・ブルニ(Carla Bruni)共演の『パリの真夜中(Midnight in Paris)』は最優秀ミュージカル、又はコメディの候補に。

五分五分のチャンス(50/50)』は、ガンを宣告されたセス・ローゲンSeth Rogen)とジョセフ・ゴードン-レヴィット(Joseph Gordon-Levitt)が共演する二人の親友の話。(候補部門は不明。)

花嫁の付き添い(Bridesmaids)』は、最優秀コメディ、またはミュージカルの候補に。

マリリンと共に一週間(My Week With Marilyn)』は、最優秀コメディ、またはミュージカルの候補に、主演のミシェル・ウイリアムス(Michelle Williams)は最優秀女優賞の候補に。

血と蜜の國で(In the Land of Blood and Honey)』の製作で初めて監督になったアンジェリナ・ジョリィ(Angelina Jolie)は、優秀外国映画賞の候補に。

2011年12月5日月曜日

余談:あるドイツの空港

今から百年前の1911年、世界最古のクナフィンゲン空港(Knuffingen Airport)が開港した。当時は僅か45ヘクタールの小規模だったが、100年の間に時代とともに成長し、今日では1,254ヘクタールに拡大した。
先ず、次の動画で同空港を展望してみよう。



 ターミナル


乗客その他の出入りが激しいターミナルの入り口


その夜景


実は以上の映像は実景ではなく、上の写真でご覧の通り、縮尺モデルを撮影したものである。実在のハンブルグ空港を基本にし、制作に足掛け6年を費やして完成したモデル空港は『クナフィンゲン空港』と名付けられた。40台の旅客機はオートマチックに発着し、90台の自動車が常時空港内を走り回り、モデルとは思えぬ迫力を出している。この巨大なセットは、ハンブルグ市内のミニアチュア・ワンダランドの一部となり。去る5月に一般公開の運びとなり、観客の人気を集めている。

2011年11月30日水曜日

飛行機雲(vortex)の奇観


「信じられない」現象だから写真が修正されたのかも、と疑ってみなくなる。最近のコンピューター・グラフィックスの技術だったら飛行機雲の添加、修正は朝飯前のテクニックだからだ。しかし同時に「事実は小説よりも奇なり」ということもあるし、天然現象で我々の知識や想像を超える事象が起こる可能性もあるに違いない、とも思い直した。また出所は不明だが、転送してくれたのが航空機事情に詳しいジェームス・ロッジ(James A. Lodge)からだったこともあったので、この一連の写真をご紹介する。----- 編集:高橋 経

ボーイング757が離陸して間もなく、両翼端が作った飛行機雲。

同機が更に上昇し、新たな渦巻き雲を生んだ。

更に上昇し、飛行機雲が消え、渦巻き雲だけが残った。

-340が残した飛行機雲は虹の7色を反映した。

105千万ドルのエミレイツ(Emirates: アラビア首長の)-380の周辺に漂う雲。

夕焼けのアムステルダム空港に着陸するA-330。右の空に異常な雲が発生。

左はボーイング747、右は遥か上空を飛ぶボーイング777

戦闘機F-15Eの周辺に付きまとう飛行機雲。

ジョウゴ型の飛行機雲を伴い音速に挑戦する戦闘機FA-18。

あわや正面衝突?高度が300メートル離れ、逆方向を飛ぶFL-330とFL-340。

ボーイング747の飛行機雲。

半月を背景に飛ぶボーイング747

2011年11月8日火曜日

中国:あるアニメーターの反抗


アニメーション作家、皮三(ピー・サン左の写真)こと、ウェイ・ボーの作品が話題になっている。ご承知、共産中国政府の言論統制は至って厳しい。特に政府の政策について、中国人民は発言の自由が全くない。そうした環境の中で、温云超(ウエン・ヤンチョウ)皮三を始め、官憲の目を潜り、インターネットを通じて政策を批判したり風刺する反骨精神の持ち主が何人か存在する。陰ながら草の根人民のみならず、欧米ファンの喝采も博している。この反抗児たちについては長くなるのでいずれ稿を改めてお知らせするとし、取りあえずYouTubeに発表された皮三の短編作品4本をここでご紹介する。主人公は丸顔で鼻血っ垂れのクァン・クァン(哐哐)、正直で優しい心の持ち主だ。台詞は、英訳されて画面に出てくるが、台詞ナシでも作家の言わんとする所はご理解いただけると思う。

学校をブッ飛ばす---- 7分31秒
2009年にインターネットで発表された初期の作品。3百万人が既に鑑賞した。政府はこれを見とがめ「不適当な内容」とし、皮三から罰金を徴収した。



よい先生---- 6分54秒
主人公のクァン・クァンは皮三の作品殆どに登場する。国家の制度が反映する形式主義の学校制度にしっくりと適合できないため、しばしば痛い目にあう。


小さなウサギちゃん、おとなしくして ----- 3分47秒
2011年はウサギ年。やんわりと年賀状のテーマに、、、という積もりだったのが、不公平な社会のお陰ででとんでもない悪夢に発展。政府の弾圧に対する不満を、このアニメーションを通じて発露。



38度線-----クァン・クァンの日記から ----- 18分20秒
朝鮮を南北に分けた北緯『38度線』が後年、『分割』とか『超すべからざる境界線』という意味に転化して広く使われるようになった。この話は、教室の二人用デスクに『境界線』を描いたことから、男女生徒を分割するまでに拡大し悪化する。「机を分け合った友達と仲良くしたい」クァン・クァンの願いが叶うかどうか?