2010年11月10日水曜日

木の枝に傾ける情熱

2010年8月付け、NYTより抜粋

パトリック・ドハーティ(Patrick Dougherty)は彫刻家である。28才の時、ここノース・カロライナ州、チャペル・ヒル(Chapel Hill)に10エーカー(4ヘクタール余り)の土地を購入して住み着いた。

ドハーティは周辺の林から、若くてしなやかな小枝、中枝、太枝をかき集め、設定の予定地でそれらを織り(『折り』でなく)上げ、動物のような有機的な形体を作り上げる。作品の大小や難易にもよるが、1点を完成させるのに3週間前後かかる。

ドハーティのテーマは、毛羽だらけの鳥の巣とか、単純な野生動物などが多く、自然に生えている立ち木をそのまま利用して織り込んだり、現存する建物に組み合わせたりして、これまでに世界各地で200点余りを創作した。
最近の制作はブルックリン植物庭園(the Brooklyn Botanic Garden)100年祭を記念し天然の歴史(Natural History)』と題して創作されたもので、来年の8月まで展示されている予定である。彼の屋外に展示された作品は、2、3年の寿命で朽ち枯れてしまう。

ドハーティは、半ば冗談で「私の処女作は、古い納屋を解体した材木、倒木とか地面から掘り起こした石を使い、手作りで仕上げた自分の家です」と語る。

ドハーティのスタジオ (アトリエ)

ドハーティは、住居や付随した数々の建物も作品として考え、そこから新たな発想が生まれる。「何はともあれ、私はモノを組み立てることが好きなんです」と言う。

野生のシカを防ぐ垣根を廻らせた野菜園。

ドハーティは、赤カエデの枝を好んで使う。
出張制作の場合も、自分の敷地から集めた枝を使う。

ドハーティスタジオは、数々の付随した建物の一つ。

彼は住居を建てたあとで美術学校へ通った。手前の円塔は、ドハーティの最初期の彫刻。

小枝で覆われた別棟の一つ。

ドハーティは平均して、1ヶ月の内1週間は在宅している。
この壁を構成している石は、全て敷地から発掘したもの。

子供が描くような家の正面。一番最初に建てた1部屋キャビンの外観が見える。

雨樋は中太の丸太をくり抜いて作った。

息子のサムのために作った遊び小屋。
サム
は今16才、友達と二人でブルックリン植物庭園
父親の作品天然の歴史の制作を手伝った。


台所の一郭。

「私の夢は家を建てることでした。あの時は、私が潜在意識で彫刻家になる夢を見ていたとは気が付いていませんでした」と追想する。

別棟。ピクチャー窓と天窓がある。

撮影: Randy Harris for The New York Times

1 件のコメント:

JA Circle さんのコメント...

木々には何かしら夢があります。実現できなかった私の夢を実現させている彫刻家がこの世の中にいるとは、驚きの発見でした。無条件で推薦いたします。ニューヨーク近辺に在住する方々は是非ブルックリン植物庭園へおでかけ下さい。